2.PROJECT STORY

設計職 窪川 理沙 / 葛藤しながら前に進む自分が 支えていたのは、家族との時間を 大切に考えるお客様の決断だった。

女性社員01

chapter1 すべてはお客様に喜んでいただくため。妥協せずに何度も繰り返した提案。

物件写真

2015年の夏。窪川にとって過去最高の高額物件となる東京・世田谷区の分譲地は、着工直後に完成前契約が成立した。コンセプト名は日本語で芝桜を意味する『リットルドット』。「周囲に色がないので、春には低い場所で可憐に花が咲くような住宅にしたい」という営業担当の想いを軸に、窪川がデザインを考えた。購入されたのは40代のご夫婦である。プレゼンテーションでは、プラン作成までの経緯やプロジェクトチームを編成する目的、メンバーの役割などについても強い関心を示していただき、大いに盛り上がった。
「プレゼンの際にいつも考えているのは、プロジェクトメンバーの想いを形にしたいということ。プロジェクトメンバーの情熱が詰まったプランが誕生するまでのプロセスにお客様も共感いただけたことで更に、今回も絶対にいい家ができると確信しました」


「今回の物件は、早くご購入いただいたこともあり、様々なご要望やオプションをお客様からいただきました」
現在お使いの家具になじむデザインや空間にしてほしい。収納スペースをもっと確保してほしい。リビングからベランダの洗濯物が見えないようにしたい。子どもが小さいうちに家族5人横並びで眠れるようにしたい――。打ち合わせのたびに新しい要望が生まれていった。
「現在の自宅で不便に感じていることを新居ではすべて解消したいと考えておられたようです。お客様にとって、“自宅を購入する”ということは、人生において一度あるかないかの大きなお買い物。お客様の強い想いにこちらも真剣に向き合い、お客様に満足していただくために様々な提案をしました」

chapter2 上棟直前に舞い込んだ追加要望。施工の負担を 考えながらも、葛藤の末に出した結論。

女性社員01

窪川へさらなる追加の要望が入ってきたのは、オーダー期限をとうに過ぎている上棟直前というタイミングだった。
「完成前のご要望であっても、お応えすることが難しい場合もあります。期限を過ぎてしまうと工事が遅れるだけでなく、予算も超えてしまう。しかし、お客様のご要望がかなっていない家をつくっても、喜んでいただけない。それだけは明白でした」


窪川は、すぐに施工管理担当に相談して日程的に可能か確認を取った。何とか間に合いそうだと施工管理担当から連絡を受けると、すぐに追加工事分の見積書を作成。期限が迫る中でもメンバーの速やかな連携によって、何とか要望に応えることができた。
しかし安心したのも束の間、お客様の要望はそれで終わらなかった。
『姿見を置くと部屋が狭くなるのでクローゼットの扉にミラーを付けてほしい』と連絡が入ったのだった。


今ならまだ間に合うかもしれない――。数日前、施工管理担当に追加工事を頼んだときの感触から、窪川はそう考えたが、これ以上施工管理担当や職人の方々に負担をかけることが許されるのか。期限が迫る中での対応は、ミスや工期の延長といった形で、結局お客様に跳ね返ってしまうことがある。窪川は葛藤の末、現場に向かった。


窪川は施工管理担当や職人の方々に今回の事態について説明し、多大な負担をかけてしまうことを詫びた。そして、お客様の夢や設計担当としての想いを熱々と語った。そんな窪川の姿勢に心を打たれたのか、現場の面々は追加の要望に応じてくれたのだ。


「快く引き受けてくれたのは、『このプロジェクトを成功させよう!』という想いを全員がもっていたからだと思います。今回のことで、お客様のために設計がやるべき仕事を、営業も施工管理も、職人の方たちも理解してくれていることを改めて実感しました。同時に、どんな状況でも的確にお客様の要望を汲み取り、先を見据えて行動することの大切さを痛感しました」

chapter3 工事開始後も続いた要望。 ご家族が揃った内覧会で、その理由を知った。

そんな苦労も、内覧会でご家族の姿を見て吹き飛んだ。
仕事の都合でこれまで一度も打ち合わせに同席されなかったご主人に対して、奥様が、窪川自ら提案して設計段階で盛り込んだアイデアや工事開始後にどうしてもという希望を叶えるために変更した点など、その一つひとつを説明されていたのだ。
『窪川さんと相談して決めたのよ』。何度も出てくるその言葉を、素直に喜んだ。
やがて、ご主人は窪川に言った。
「建売なんだから、無茶なお願いをして設計の方を困らせるなよ、とは言っていたんですけどね。今、妻から話を聞いてそこまでやっていただいたのかと驚きました。そして、この家を見て、妻がこれから自宅で過ごす時間をどうしたいのか、すべて理解できました」


ご主人の言葉を聞いて初めてわかったことがある、と窪川は言う。
「奥様のご要望はいつも明確でした。でも内心は、ご家族5人のこれからの生活のために、そして成長していくお子様たちのために、具体的に何をどうすればいいか、悩まれていたんだと思います。私と何度も打ち合わせをするなかで、奥様は、ご家族のことを想い、未来を見据えて、一つひとつの決断をされていたのだと知りました」


窪川にとって、この経験が大きな自信につながったことと同時に、今でも心の支えになっている。
「お客様の夢を叶えるために何ができるのか。その姿勢を忘れなければ、どんな困難な状況でも自分を見失うことはない。前例がない工期の変更や追加要望なども、メンバーとコミュニケーションをしっかりとっていれば必ず実現できる。そう信じてこれからもやっていきたいですね」

可憐に咲く芝桜が アクセント。春の到来が 楽しみになる家。

世田谷区の高額物件。枝分かれして地表に密生し、4~5月に桜に似た形の淡桃、赤、薄紫、白色の花を咲かせる『芝桜』を駐車スペースの脇や門柱付近に植え、建物外観には濃淡のあるレンガ色と白、ベージュ、グレーを配色。春の訪れが楽しみになるような外観に仕上げた。