3.PROJECT STORY

施工管理 齋藤 国治 / 前例がなければ、つくればいい。 試練をエネルギーに変えて挑んだ日々。

男性社員02

chapter1 入社2年目の若手技術者に、託されたプロジェクト。 それは、巨大な浴槽を携えた高級物件だった。

物件写真

ようやく施工管理として土台が固まりつつあった、入社2年目のことだった。高級注文住宅の施工管理担当として、斉藤に声がかかった。周囲の施工管理と比べて、日の浅い自分が選ばれたときは、驚きを隠せなかったと当時を振り返る。


「まだ入社2年目というタイミングで、高級物件の担当として選ばれたことに驚きました。これまでの仕事ぶりを評価して『齋藤ならできる』と任せていただいた期待に応えたいと思い、『やらせてください』と、その場でお願いしました」


こうして齋藤は入社して初めて、メイン担当となり注文住宅の施工に着手する。
延床面積は34坪。都心の住宅では、28~30坪が三栄建築設計の手がける標準な坪数のため、大きな部類である。


しかし、設計担当から渡された図面を見て唖然した。浴室が、これまでに見たこともないスケールになっていたからだ。齋藤はすぐに詳細な仕様についてヒアリングを行った。


「大きな浴室の設計の裏には、“世界でここにしかない大きなお風呂で、毎日ゆったりとした時間を過ごせるように”という考えがありました。そこで、入口から浴槽までのアプローチの角度やタイルの形状、ジャグジーの性能など、細かなところまで要望をお聞きして、浴室の施工図面を作成しました。完成した図面を何度も見返していましたね。お客様は、ご要望が具体的で、指示も簡潔。『これならいけるかもしれない』という気持ちになりました」

chapter2 大きな浴室に、特殊な床材のウッドデッキ…。 前例のないオーダーに立ち向かう。

男性社員02

しかし、そこに齋藤の誤算があった。浴室の仕様について現場に伝えると、『こんな規模のものは今までつくったことがない』。職人たちは、声を揃えた。


「職人さんの予期せぬ反応を前に戸惑ってしまった自分は、施工管理担当としてまだまだ未熟。完成までの具体的なシミュレーションもないまま、『何とかなるだろう』という甘い考えだけで突っ走ってしまっていました。加えて、『施工』というプロジェクトにおける最終段階を任されているという自覚が足りなかったのだと思います」


齋藤は、改めて施工管理の役目を果たすために動き出した。施工例や他社事例、専門誌など、あらゆる資料を読み尽くし、参考になる情報をかき集める。『前例がないなら、自分自身でつくればいい』。そう言い聞かせ、不可能を可能にするための行動を起こしたのだ。


「難しかったのは、タイルの割り付けでした。20センチ角ではサイズが大きすぎて、半分に割らないと収まらない箇所が出てくる。でもそれでは見栄えも悪いし、そもそもそのサイズのタイルを使う意味がなくなる。パズルを作るような感覚で図面を作成し、空間の納まりをイメージする。その作業を何度も繰り返しました。すると、タイルの間隔と配置が徐々に見えてきたんです」


そして、齋藤に新たな試練が降りかかる。
『二階のバルコニーにウッドデッキを作ってほしい』
追加工事の依頼が入ってきたのは、浴室の工事に目処がついた矢先だった。最初の設計段階ではなかった要望が、工事が始まってから出てくるのは珍しいことではない。問題は、ウッドデッキに使用する床材が極めて特殊だったことだ。
「どのメーカーに頼めば仕入れられるのか、職人さんだけでなく、営業、他の施工管理の人にも片っ端から声を掛けて聞きました。ただ、そんな状況でも『きっと何か方法がある』と自分を奮い立たせながら、少しずつ前に進んでいきました。その一方で、今までにない新しい素材で家をつくるというチャレンジも原動力になっていました。これを乗り越えたら必ず成長できる。とてつもなく大きな達成感が待っている。そう信じて突き進んだんです」

chapter3 感謝の言葉とアワード獲得は、通過点。 提案する力を得た技術者の挑戦は続く。

齋藤は、次々と降りかかる試練にも果敢に立ち向かい、その経験を自信に変えてきた。そして、浴槽も含め、素材が決まってからは、現場の雰囲気も大きく変わっていった。


「職人さんにも打ち合わせに同席してもらい、どんどん意見を言ってもらいました。前例のない施工になりましたが『無理だ』と異議を唱える人は、一人もいませんでした。職人さんと一体となって、お客様の想いを形にするために提案を繰り返していきました」


そして、基礎着工から4ヶ月半。ついに住宅は完成した。
「『想い描いた通りの空間だよ。本当にありがとう』と言葉をかけていただいた瞬間、この仕事を任せてもらえたことに心から感謝しました。施工段階から現場によく来られていたのですが、いつも笑顔で見守ってくれていたことも、自分にとって支えになっていました」
この年、齋藤は、社内アワードで工事課の誰もが目標とする『グッドクオリティ賞』と『最優秀賞』の2冠を達成。その要因の一つがこの物件だったことはいうまでもない。
「新人の頃、職人さんから『今まではこうだった』と言われたら従うしかなかったですが、この物件を手掛けてからは、プロジェクトに関わる一人ひとりの意見を聞いたうえで最適な施工方法を考え、提案できるようになりました。それが自分にとって一番の成果です」
大きな実績を残した齋藤だが、既に目線は上へ。挑戦は、これからも続いていく。

浴室とウッドデッキが ポイント。オプション工事が 満載の注文住宅。

入社2年目に初めて一人で施工を担当した高級物件。3階建て、34坪の注文住宅で施工期間は4ヶ月半。オプション工事が多く、なかでも浴室とウッドデッキバルコニーは、ベテラン揃いの施工業者が『見たことがない』と声を揃えたほどの特別仕様だったため、自ら施工図面を作成。タイルなどの素材もカタログにない製品だったが粘り強く調べ、入手先を特定した。